舞台は、芸術家を目指す人々の集まるワシントン・スクエア西のある一角。
一人の若い女性が生きる力をなくして、肺炎の床に横たわっていた。
冷たい秋風に吹かれて、窓の外に蔦の葉が五枚残っていた。
その残った葉の最後の一葉が散るときに、自分の命も終わるのだと、彼女はいうのだった。
冬を迎え、ジョアンナが見つめる木からは、一枚また一枚と葉が落ちて行く。
やがて、嵐が訪れた。嵐の過ぎた翌朝、ジョアンナは期待せずに窓を開ける。
しかし、その木には、最後の一葉だけが、落ちずについたまま残っていた。
激しい嵐の中でも落ちなかった葉っぱを見て、ジョアンナは生きる希望を得た。
そう、最後の一葉は、葉っぱではなく、煉瓦に描かれた一枚の絵画だった。(作オー・ヘンリー)
逸翁美術館にて(池田市)